【第8回】農業大賞(2011年)
※社名、肩書き、名称、年齢、文中の数字などはすべて受賞当時のものです。
農業の部 農業大賞 北海道知事賞
えりも高橋牧場(えりも町)
えりも岬のすぐ近くで、コンブ漁業と、短角牛の牧場を経営。現在、放牧地は約100ヘクタールあり、ひとつの群れに種牛を1頭ずつ張りつけ、ローテーションしていくという仕組みで、短角牛260頭を飼育している。「子牛の時からしっかりと母乳で育てるとのが一番安全」という観点から、殆どが親子で放牧し、離乳して連れて帰るというスタイルをとっている。堆肥を牧草地に還元する循環型農業を実践するとともに牛舎での餌は、収穫後の農薬を使わない、遺伝子組換をしていないものを食べさせている。2001年にファームイン『守人(まぶりっと)』、2002年に焼き肉『たんたん』もオープン。又、短角牛は、スローフード協会の『味の箱舟』にも登録されていて、スローフード運動や食育にも熱心に取り組んでいる。
(写真:代表の高橋祐之さん)
農業大賞 コープさっぽろ賞
(有)当麻グリーンライフ(当麻町)
米を中心に平成2年に当麻グリーンライフ研究会を設立。特別栽培米を生産し、全国に直接販売をスタートさせ平成10年に法人化する。16名の社員は、瀬川氏も含め平均年齢は、42~43歳と若く、殆どが農業を経験した事の無い人たちが支えている。「世襲だけで引き継いでいける農家は多くないので、人が入れ替わり立ち替わりしても、次の世代に引き継いで行くことは、農業法人としての大きな役割だと」という。現在96ヘクタールで、有機認証を受けて有機野菜を、30ヘクタールで水田の特別栽培をしており、野菜類は25種類以上を生産、『われら有機家族』のロゴで、全国販売している。トマトジュース、甘酒、野菜ジャム、味噌なども製造・販売。JR当麻駅舎内にある事務所は、直売所も兼ねている。
(写真:代表の瀬川守さん)
養老牛山本牧場(中標津町)
大学時代を北海道で過ごした経験から、北海道に住みたいという思いもあり、完全循環型酪農、有機酪農を目指して9年前に新規就農。現在、25ヘクタールの放牧地で、52頭(搾乳している牛は37頭、育成中15頭)の牛を通年完全放牧で飼育。林間放牧で、一般の集約放牧と比べると素放牧に近く、広い土地に離しっぱなしというスタイル。牛に負担をかけないでいく、という方針に基づいて、乳量は年間で5000キロ程度しか搾乳しなく、全道平均の9000~9300キロに比べてかなり少ない。また、農商連繋組織『中標津素材感覚』代表もつとめていて、10月には、中標津マルシェも開催した。
(写真:代表の山本照二さん)
農業特別賞
永光農園(札幌市)
国産鶏の「もみじ」という種類を約3000羽平飼いする養鶏と、ファームレストラン&カフェ『農園の四季』を経営。ひとつの鶏舎内に26の部屋があり、餌やり、採卵、卵を磨く、パック詰めなどは、全て手作業で行っている。餌は90%以上が国産飼料で、自家配合。鶏糞は全て牧草を育てるために使い、卵を生んでいる間は、薬剤は一切使用していないなど環境に対する取り組みも行っている。1日2400個の卵を生産しており規格外のものは全て直営店などで販売するケーキ用に使用。それ以外は宅配、直売している。『農園の四季』は、平日はカフェ、週末は蕎麦屋として営業していて、シフォンケーキやプリンも製造している。
(写真:代表の永光洋明さん)
八雲町酪農組合 緑と牛と大地の会(八雲町)
函館酪農公社の金子会長の「本物の牛乳を生産者に届ける」との想いに賛同し、良いものを消費者に届けようと八雲町の牧場13戸で昭和48年に結成。放牧地合計10ヘクタール、牧草地合計250ヘクタールを擁し、無調整で殺菌処理のみの牛乳を消費者に届ける為に「健康な牛を育てよう」と、餌は牧草とデントコーンと穀物、そして遺伝子組換えをしていないポストハーベストフリー餌など、濃度の濃いものを与えている。生乳は、自分たちも株主である函館酪農公社に納入し「緑と牛と大地」のブランド名で販売している。また、牧場見学会や体験交流会などにも積極的に取り組んでいる。
(写真:メンバーの小栗ご夫妻と代表の小林信雄さん)
農業奨励賞
駒ケ岳ファーム大久保(函館市)
OL生活を経て、家業の農家を継ぐために酪農学園大に編入、2008年就農。2009年に「エコファーマー」、2010年に「特別栽培認定」を受けトマトを中心に野菜など7.9ヘクタールを栽培している。自分が食べない野菜を作付けしても愛情をかけられないということで、トマトの品種は自分が好きな物を中心に作付し、加工用1種、生食用1種とミニトマト1種をハウス栽培している。生食での出荷は殆どなく、直売所で売るものと、あとは全て加工用でソースにするなど加工も手掛けている。6次産業の認定申請をして受理されていて、今後は商品開発をして加工品目を増やす予定。
(写真:代表の大久保由紀子さん)
宇井農場(新得町)
夫婦2人で営む有機農場で、就農31年。就農7年目から除草剤、農薬、化学肥料を一切やめようと、有機に転換して25年程になる。2001年には北海道有機認証協会認証を受け、スィートコーン、ジャガイモ、人参、ソバなどを、2.8ヘクタールで栽培。一番自信を持っているのが人参で、「人参コーヒー」も委託生産している。また、宇井ひろし氏は、シンガーソングライターとしても活躍中で、スローフード運動や食育にも熱心に取り組んでいる。
(写真:代表の宇井ひろしさん、茂子さん夫妻)
サンファーム斉藤農園(恵庭市)
北大水産学部大学院博士課程を修了後、環境関連の会社に就職し2009年退職後、本格的に就農する。総耕作地面積は3.7ヘクタールで、廃棄物を利用して自家製堆肥を作り、それを畑に入れて40種類の野菜を生産している。2010年に有機JAS認証を取得。また、耕作地の一部を市民農園として開放し、農業指導や農業イベントなども実施している。
(写真:代表の斎藤和敏さん)
一戸農場(美幌町)
人参、ゴボウ、ジャガイモなどの野菜を、40ヘクタールで栽培。約40年前から農業に携わり、30歳になった頃、野菜作りを始めたが、連作障害が多くなり、畑の土壌菌が発生した。その時、島本微生物農法に巡り合い自家製堆肥での土づくりを始め、現在は全圃場で有機栽培している。この微生物農法を一緒に勉強していた有機農家の仲間と共に、株式会社『大雪を囲む会』を2010年9月に設立し、統一ブランドで野菜を出荷している。
(写真:代表の一戸義則さん)
漁業の部 漁業大賞 コープさっぽろ賞
株式会社 カネテツ谷川水産(佐呂間町)
北海道の激しい環境の中、北海道唯一の海苔養殖業者として、先代の谷川哲康氏の時代から長い年月をかけて、寒い時期でも成長するように品種改良してきた。養殖には、ホタテ殻を使用し、種はサロマ湖からくみ上げた海水を入れた水槽の中で人工的に育てていて、半分くらいまで育てた後、サロマ湖に持ってく。10月末から11月まで、年によっては12月初旬までが海苔漁で、海水表面の温度が下がると、海中の栄養分が下から上に逆流してくるので、海面の海苔がその栄養分を吸収し、色とつやがよくなるという。2010年にはオホーツクブランド認定も受ける。
(写真:代表取締役の谷川哲也さん)
漁業特別賞
寿都町漁業協同組合(寿都町)
年間取扱量は、1万トン前後で主力魚種は7割近くをしめている「ホッケ」。また、カキは、旬が春の「寿カキ」としてブランド化されている。そのほか、ヒラメ、タラ、イナダ、カスぺ、マツカワ、ブリ、タナゴ、ふくらげなどを水揚げしていて扱い高は平成22年で14億円。2年前から海に森を作るという取り組みを実施し、海に肥料を添加して、その肥料の助けで海藻を沢山付けようという試みをしている。
(写真:専務理事の木村親志さん)
漁業奨励賞
合同会社 オーガニックケルプ(函館市)
平成21年3月に会社設立。旧椴法華村にある製塩所では、椴法華沖の海面から400~600mの海水を採取し一度に300リットル焚いて、8~10キロの塩にする。自社製塩した塩を、地元の漁師さんに栽培支援をしてもらっている海藻や、農家である実家の畑で採れた野菜や地元の食材とブレンドし、シーズニングソルトとして販売している。また同様にブレンドしたドレッシングのほかソース類、海藻のドライフードなども製造販売している。
(写真:代表の吉川誠さん)