【第3回】農業大賞(2006年)
農業大賞 北海道知事賞
(有)十勝しんむら牧場(上士幌町)
33年から現在地で酪農業を営む。’94年、代表の新村浩隆氏が4代目として就農。放牧と土壌分析に基づいた土づくりを始める。2000年4月、ミルクジャムなど牛乳の加工品を次々に開発し、道内をはじめ全国の百貨店などで販売している。’05年4月、牧場ショールーム「クリームテラス」を開店。
(写真:代表取締役 新村 浩隆さん)
農業大賞 コープさっぽろ会長賞
JAとうや湖クリーン農業協議会(洞爺湖町)
87年3月、豊浦町、虻田町、壮瞥町、洞爺村、大滝村の3町2村の農協が合併して設立される。’02年、クリーン農業推進課を新設。生産者、農協、行政が一体となった「とうや湖クリーン農業協議会」を設立し、土作りを基本とした生産能力および製品率の向上による農家経営の安定に取り組む。栽培履歴の管理やポジティブリストにも対応している。
(写真:会長の菊池 博さん)
野付漁業協同組合(別海町)
『譲りと協同』という二宮尊徳の報徳精神を取り入れることにより、漁協組合員の経営の合理化と所得均衡をめざし、基幹漁業であるホタテ桁網漁業、サケ定置漁業の共同経営化が図られている。明治20年代から行われている「エビ打瀬網漁業」は、’04年「エビ打瀬網舟」が「野付半島」とともに北海道遺産に選定されており、伝統の漁法を後世へ継承するために守っている。また’88年から行っている植栽事業は、2000年から首都圏コープ事業連合(現パルシステム生活協同組合連合会)とともに「コープの森」をつくり、環境保全にも取り組み、組合員との交流も深まっている。
(写真:専務理事 佐藤 一雄さん)
特別賞
グループ’84(当麻町)
84年、脱サラして滋賀県から旭川市神居古潭に新規就農した浅野夫妻と、同時期に東京から新規就農した福山夫妻が中心となって結成した生産者グループ。さらに比布町で無農薬栽培を開始した谷口夫妻と、奈良県から移住、福山農場で研修を受けた後、当麻町で独立した田中夫妻も加わる。福山氏は、2000年には農学博士で土壌診断や野菜の品質、生理の研究を続けてこられた故相馬暁氏と北海道初の認証機関、NPO法人北海道有機認証協会を創設。
(写真:左から浅野晃彦さん、谷口弘さん、福山憲昭さん、田中秀樹さん)
農場たつかーむ(壮瞥町)
20年前に新規就農。3500羽のボリスブラウンを開放鶏舎で自然養鶏し、その鶏糞を発酵肥料として畑に還元するなど有機有畜複合農法を実践、有精卵を生産している。7ヘクタールの畑はすべて有機JAS認証で、ニンジン、タマネギなど40〜50品目を栽培のほか高級菜豆も有機栽培する。障がい者の経済的自立を目指す就労支援を行い、寮と通いの方をあわせて8人の知的障がい者を雇用している。
(写真:代表の髙野 律雄さん)
(有)メノビレッジ長沼(長沼町)
’95年、エップ・レイモンドさんと荒谷明子さんを中心にCSA(地域で支え合う農業)の取り組みを始める。会員から会費を徴収し、野菜や米、卵を宅配。現在、会員は約60軒。田植え・稲刈り体験など、会員や市民との交流も盛ん。農業を志す若者が研修生としてともに農作業を行う。
(写真:代表のエップ・レイモンドさん)
こんぶ娘の工房(浜中町)
浜中町で3年前に結成された昆布加工のグループ。4人とも夫婦で昆布漁業を営み、自分たちが採取した昆布をもっと日常的に利用してほしいと、加工も行っている。加工に使用する原材料はすべて自分たちで採取したものを使用し、建物は持たず、人の手を借りず、大量生産はしないで製造加工するというのがポリシー。
(写真:左から長内みささん、永坂睦子さん、林なを子さん、秋森美智子さん)
奨励賞
愛別町きのこ生産組合連合会(愛別町)
’72年、米の減反政策に伴いエノキタケ栽培を開始した。’83年には農事組合法人を組織し、仕込みから培養まで一括管理するエノキタケ培養センターを建設。’96年に二つ目のエノキタケ培養センター、’98年にナメコ培養センターを建設し、きのこ類の年間総出荷額は約16億円、関連業務就労者は約200 人にのぼる。
(写真:会長の中田 栄一さん)
ごとう農園(真狩村)
傾斜地を平らにすることから農業をはじめて32年目。除草剤、殺虫剤は使わず、殺菌剤のみを使用し、農薬を慣行栽培の1/2以下に削減。また特別栽培基準で、キタアカリを中心にジャガイモを作り、安定的に収穫できるよう、勉強中の日々。奥さんの早苗さんが手書きしている「ごとう農園だより」は今年で21年目、ジャガイモの箱に同封して消費者にお届け、コープさっぽろの組合員との交流も盛んに行っている。
(写真:代表の後藤 進さん)
なんぽろピュアライス(南幌町)
「環境との調和」を合言葉に、時間と手間をかけて安全で安心な米作りに取り組んでいる。収穫後の稲わらを完熟堆肥として圃場に還元する環境保全型農業を行うほか、農薬を使わず、温湯種子消毒を行うことで、病気に強い苗作りをしている。また、圃場の畦にハーブを植えて害虫の発生を抑止し、農薬の使用量を抑えている。’05年には、第10回環境保全型農業推進コンクールにおいて大賞の「農林水産大臣賞」受賞。
(写真:会長の川崎 文男さん)
増田農場(深川市)
カメラマンから転身、Uターン就農で「顔の見える農業」を始めて14年目。安全でおいしい有機野菜や自然卵を直接消費者に配達、また本州にも宅配便で直接発送をしている。鶏の餌は、自分の圃場や地元でとれた規格外の野菜や小麦などが中心で、野菜に使う肥料は自家鶏糞や脱脂ヌカや魚カスなどを使用。標高約 200mの山の畑で有機栽培の循環農業を実践中。
(写真:増田 昭啓さん)
(有)丸巳(東川町)
点在する240ヘクタールの圃場で、標高差を利用して露地野菜で11品目を栽培。うちニンジン、カボチャ、馬鈴薯は特別栽培。土壌の微量必須元素のミネラル(マグネシウム、亜鉛、鉄など)を土壌に与えることにより、栄養価の高い野菜作りに努めている。現在パートを年間雇用で55人、年末で300人雇用するなど地域の活性化にも努める。コープ産直の野菜提供、生産者交流なども行う。
(写真:取締役社長 矢澤 勝己さん)
えさん漁業協同組合 尻岸内ほっけ刺網部会(函館市)
旧恵山町で2000年に現理事の佐藤靖治氏ら4名で発足。’01年、「バキバキ」のネーミングを考案、出荷する箱に「海峡根ぼっけバキバキ」と印字するように。’04年、この原料を使用した「開き加工製品」が誕生、札幌市場への出荷も開始した。’05年には「バキバキ」を商標登録申請。
(写真:会長の野呂 勇輔さん)
日高定置漁業者組合 銀聖プロジェクト委員会(えりも町)
北海道日高の天然秋鮭の安全・安心・品質の良さを全国の消費者に知ってもらおうと、日高エリアの定置漁業者が結束して「銀聖プロジェクト委員会」を設立、低迷する鮭のブランド化にチャレンジ。資源保護のため河川の清掃や親魚の提供など、各機関と連携しながら行う。また全国各地の催事やイベントに参加し、漁業者自ら消費者にアピールすることにも取り組む。
(写真:委員長の佐藤 勝さん)
農業・漁業交流賞 交流の部 札幌市長賞
石狩手づくり食品の会
91年発足以来、地元でとれる食材を毎日の食卓に取り入れたいとの気持ちから安全で美味しく食べられる手づくりにこだわり調理、加工研究を行う。’02 年には生産者グループとともに「いしかり農産物加工グループ連絡協議会」を立ち上げ、その後事務局として生産者と消費者の交流を広げる活動を行う。
農業・漁業交流賞 交流の部 奨励賞
奨励賞の該当者はいませんでした。
農業・漁業交流賞 作品の部 組合員賞
大きなさけとにらめっこ!(宮内みずほさん・斜里町)
わたしの学校、しゃり町立みねはま小学校では、毎年あきに、全校じどうでさけのトバ作りをしています。きょ年さけのトバ作りをしたとき、はじめてマキリぼうちょうで魚を切りました。魚のほねがかたくて、三まいにおろすのがとてもむずかしいと思いました。じぶんで作ったさけトバはとてもおいしかったです。
にんじん、ほれたよ!!(長山夕子さん ・苫小牧市)
私の両親が大滝村(現・伊達市)の市民農園で野菜作りをしていた2年前の写真です。当時5歳だった息子といとこの女の子2人で、初めてニンジン掘りをおっかなびっくりしている様子がほほえましく思ったのを思い出します。下の子が10カ月で忙しく畑に行って祖父母の手伝いをするのが息子の楽しみでした。今、両親は腰を痛めたり、足を骨折したりしで、畑を休み、私は3人目の妊娠で自然の野菜から遠のいていますが、また子ども達と畑を楽しみたいです。
※作文の該当者はいませんでした。
農業・漁業交流賞 作品の部 奨励賞
牛の乳しぼり体験(能藤信之助さん ・遠軽町)
酪農研修会で、牛の乳しぼりをやらせてもらいました。本当は早朝に一度、搾乳をした牛なのでしょうが、とても勢いよく、乳が出ていました。しぼり終わって、久保さんの母さんが、牛に声をかけていたことが印象的でした。
『んまっ!!』(うまいっ!!) (渡辺ひとみさん ・北見市)
牛と牛乳が好きな1歳の息子。じいちゃんの家に行くと牛舎を指差し「モーモー」と言いながら牛舎に行こうと私に催促。でも、近くに行くとまだ牛が恐い息子は「だっこ、だっこ…」、そしてバルククーラー(搾った牛乳を出荷まで冷やしておくところ)から、搾りたての生の牛乳をゴクゴク…ゴクゴク…大満足の息子です。
風にのって(及川 実久さん ・札幌市)
はじめは憂鬱だった農作業が大変さとともに達成感を味わえるすばらしいことに自分の中で変わっていったことを作文にしました。