【第4回】農業大賞(2007年)
※社名、肩書き、名称、年齢、文中の数字などはすべて受賞当時のものです。
農業の部 農業大賞 北海道知事賞
平取町野菜生産振興会トマト・胡瓜部会(平取町)
日照時間が長く、比較的冷涼でトマトの生育に適した平取町。桃太郎トマト「ニシパの恋人」の産地として広く周知されている。作りやすさよりも味にこだわり、ハウス桃太郎、桃太郎、桃太郎エイトの3種で約6カ月間の出荷体制をつくって全国に出荷している。接木ではなく自根での栽培でより品種の特性を引き出すことに取り組むほか、セイヨウオオマルハナバチによる交配で、農薬の使用を最小限に抑えている。
(写真:部会長の糸屋 新一郎さん)
農業の部 農業大賞 コープさっぽろ会長賞
はるか農園(千歳市)
サラリーマンを経て新規就農し8年目。有機農家の多くが零細で数も少ない現実に直面し、より効率的で環境に調和した高品質な有機栽培技術を編み出すことで、有機農産物の普及を目指す。自然卵養鶏100羽から始め、現在、約8ヘクタールの耕地に、ケールなどの野菜、牧草、飼料用デントコーンと鶏2,000羽とを組み合わせた循環農法を行う。知的障害者を含め10人ほどのスタッフと共に働いている。
(写真:代表の三浦 賢悟さん)
農業の部 農業特別賞
東川町稲作研究会(東川町)
大雪山系から一番先に流れてくる栄養豊富な伏流水を使い、水稲を栽培している。上川農業試験場で開発され、東川町が最初に作付けを開始した「ほしのゆめ」が70%以上を占める。平成15年に栽培履歴記帳推進運動を実施し、東川米の統一水稲生産基準を定める。平成18年に東川米信頼の証9か条を制定、19年には種籾温湯消毒処理施設を導入し、消毒作業における廃液をなくすことに成功。徹底した安全管理と環境問題に意欲的に取り組む。
(写真:会長の金盛 勇松さん)
訓子府町クリーン農業推進協議会(訓子府町)
昭和62年に、訓子府町の特別栽培農産物がタマネギからスタートして20年。よりクリーンな農業を広めようと、町の環境保全型農業推進方針が策定されたのに伴い、平成8年に本協議会を設立した。現在約100戸の農家が参加し、生産者と消費者が協議の上で栽培方法を決定する「フードプランの会」、発酵鶏糞と魚粉という独自の低コスト資材を使う「昔がえりの会」など、6つの部会が独立して活動している。
(写真:会長の中沢 洋充さん)
(有)佐々木種畜牧場(斜里町)
消費者に喜ばれる、味の良い豚肉を目指して作られた「サチク赤豚」。平成元年に日本農業賞を受賞。広々とした環境と徹底した衛生管理のもと、こだわりの飼料で育てられたこの肉は、締まりが良く、きれいな色と豊かな風味を持つ。これを直売所で自ら販売、焼肉店も運営することで、消費者との交流の場にもなっている。さらに糞を堆肥化し町内、自社含む20万株の花やメロン、キュウリなど野菜も多く栽培する。
(写真:代表取締役の佐々木 信男さん)
農業の部 農業奨励賞
ファームひなたんぼ(当別町)
道内初の冬期灌水水田「ふゆみずたんぼ」に意欲的な取り組みを見せる。水を捨てずに溜めて湿田にすることで、雪の下では氷点下にならず、水中生物が早く活性化することに注目し、米作りに生き物たちがどれほど役立っているのかを研究している。同時に、そのふゆみずたんぼで一般消費者などへの田植え体験、“ひなたんぼガーデン”の一般開放や、野菜の直売所を設けるなど地域との交流も盛んに行っている。
(写真:代表の竹田 広和さん)
(有)鶴沼ワイナリー(浦臼町)
日本での栽培は難しいとされていた欧州系のブドウ栽培を、30数年の試行錯誤で、国内最大のワインブドウ園にまで育て上げた。積雪寒冷地の北海道でも対応できるよう、世界に一台しかない植付機械を開発して省力化、低コスト生産を可能にした。浦臼町最大のイベント「ワインの里フェスティバル」など、体験型観光農園としての整備も展開中。
(写真:代表取締役の今村 直さん)
(有)渡辺体験牧場(弟子屈町)
「牛も健康、家族も元気、お客さんも笑顔」がモットー。昭和59年に摩周湖ユースホステル利用者の中から、牧場体験の希望者を受け入れたことをきっかけに、今までおよそ28万7千人の観光客を受け入れた。搾乳・エサやりはもちろん、バターやアイスクリームづくり体験などを通して、酪農のおもしろさとともに、命の大切さ、食のありがたみを伝える。「顔が見えない農業」と言われる酪農業を改革するべく奮闘中。
(写真:代表取締役の渡辺 隆幸さん)
(有)大沼肉牛ファーム(七飯町)
トレーサビリティ法に基づき徹底した品質管理、衛生的な水と牛舎、牧場生産の完熟堆肥を還元する循環農業に取り組み、生産モットーは消費者・牛・大地の3つの健康。駒ケ岳、大沼国定公園の近隣という好環境で育てられている「はこだて大沼牛」は、脂が少なく、やわらかい旨みのある牛肉として評判を呼んでいる。
(写真:代表取締役の小澤 嘉徳さん)
知内町ニラ生産組合・知内町ほうれん草生産組合(知内町)
昭和50年に設立した知内町ニラ生産組合。現在「北の華」という名前で親しまれている。組合間の情報共有や栽培管理技術の統一化、共同利用機械の導入などを行い、組合員相互の信頼関係で運営されている。
平成元年設立の知内町ほうれん草生産組合は、技術指導や栽培勉強会の開催で、組合員間の栽培技術の底上げを図り、生産者の女性たちで結成された「オリーブの会」で、月1回ほうれん草を通じて座談会形式で意見交換をしている。
(写真左:知内町ニラ生産組合組合長 石本 顕生さん、写真右:知内町ほうれん草生産組合組合長 大嶋 貢さん)
漁業の部 漁業大賞 コープさっぽろ会長賞
日高定置漁業者組合銀聖プロジェクト委員会(えりも町)
輸入や養殖に押されている北海道の鮭定置網漁業に危機を感じ、北海道の天然秋鮭の安全・安心、品質の良さを消費者に知ってもらおうと日高エリアの定置漁業者や加工業者が結束して「銀聖プロジェクト委員会」を設立。サケが遡上する河川の清掃やさけ・ますふ化場と連携して、サケの資源保護にも取り組むほか、海水シャーベットを使ったフローアイスシステムを導入し、鮮度と品質の向上に努めている。
(写真:委員長の佐藤 勝さん)
漁業の部 漁業大賞 漁業特別賞
歯舞漁業協同組合 歯舞あさり部会(根室市)
平成6年の北海道東方沖地震による津波で天然漁場を失い、その後造成した漁場が軌道に乗らず荒廃。試行錯誤を繰り返し、農業における環境整備の重要性は、水産業にも通ずることを見出し本格的な漁場改良を進めている。「歯舞のあさり」を広めるための取り組みの一つとして、小、中学生への水産学習を行う。また、自分たちで開発した商品を自らの手で消費者に届けたいと、「あさりの缶詰」の製品化にも力を注いでいる。
(写真:部会長の長山 吉博さん)
漁業の部 漁業大賞 漁業奨励賞
釧路市漁業協同組合(釧路市)
平成19年、「釧路の魚」にししゃもを指定し、地域をあげて釧路のししゃもの普及とブランド化を図るため幅広い交流に取り組む。加工は旨み成分のイノシン酸とグルタミン酸及び遊離アミノ酸などの量が多くなる天日乾燥にこだわる。釧路湿原国立公園近くの原野にあったかつての孵化場では、植樹を実施し環境保全と樹木の管理を続けるほか、小学生を対象とした漁業の出前授業や多数のイベントにも参加している。
(写真:代表理事組合長の濱 隆司さん)
日高地区漁業協同組合女性部連絡協議会(浦河町)
773名の“浜のかあさん”たちに共通するのは、「もったいない」という気持ち。漁獲されても、流通に乗らずに捨てられてしまう水産物を、「埋もれた魚たち」と呼び、そのおいしさを広めようと取り組む。地元加工業者と「スジメの甘辛炊き」を製造販売、地域住民への料理教室なども開催し、食材レシピも多数紹介している。
(写真左:代表の住岡 操さん)
農業・漁業交流賞 交流の部 交流賞・札幌市長賞
酪農家集団AB(エービー)−MOBIT(モビット)(根室市)
5人の酪農家グループ“AB-MOBIT”は、イギリス発祥の遊歩道「フットパス」にならい、厚床から別当賀間にフットパスを整備し、地域おこしに取り組んでいる。そこには、牧場をつなぐルート作りだけでなく、歩くことで土地の魅力、人とのつながりを発見してほしいとの願いが込められている。“AB”とは厚床と別当賀の地名、“MOBIT”とは5人の酪農家の頭文字をそれぞれ取ったことから名付けられている。
農業・漁業交流賞 交流の部 特別賞
田んぼdeミュージカル委員会(むかわ町)
平成15年に地元の高齢者たちが作った映画として全国的な話題となった『田んぼdeミュージカル』。生き生きと歌い踊る姿、町の歴史や文化が描かれた作品は、観客に勇気と感動を与えた。道内外で上映会の開催のほか、映画祭へ参加し、地方の時代映像祭コンクール2003市民自治体部門奨励賞など多数受賞している。平成17年に2作目『田んぼdeファッションショー』を制作、現在は3作目『いい爺いライダー』を制作中。
農業・漁業交流賞 交流の部 奨励賞
黒松内ぶなの森自然学校(黒松内町)
天然記念物、ぶな林の北限といわれる黒松内町で、都市と農村の交流施設として作開小学校跡地で「黒松内ぶなの森自然学校」を開設。人こそが大きな魅力・資源であると、平成15年からは「地域と共に」というキーワードを加え民間の交流機関としての活動を始めた。地域の人々、生産者、消費者に時間をかけた丁寧な交流を重ねている。今後は、来訪者が短時間の滞在を通しての関わりで終わらないような中長期滞在の仕組みづくりが目標だ。
農業・漁業交流賞 作品の部 組合員賞
あま〜いとうきび、とれたよ!!(乙部理央さん ・斜里町)
春、農家の方に教えていただき植えたとうきびのたね。夏の間、いっしょうけんめい雑草をぬき、土を寄せようやく収穫へ。生で食べても甘いとうきびに大喜びしている様子を描いています。
美宇小 最後のお米づくりの風景(牧野里香さん ・新冠町)
新冠町美宇小学校(全校生徒22名)では20年以上水田学習をしてきました。今年度限りで廃校になるので、最後のお米づくりとなりました。もみまきをして苗を作る事から始まり、田植え、稲刈り、はさがけ、脱穀と作業が続きます。この写真は稲刈りの時のもので、しばった稲のたばを両肩に乗せ、運んでいる2年生の男の子。両手に稲を持ちポーズした6年生の我が娘。はさがけの時にたくさんの低学年の子どもたちに「高い所へかけて!かけて!」と言われ、楽しそうに作業している6年生の男の子です。このお米はもち米なので、11月にもちつきをして、新冠町の老人ホームへおもちと歌のプレゼントで訪問しています。今年で最後と思うとさびしいですが、子ども達の中でずっといい思い出として残る事と思います。
※作文は該当者はいませんでした。
農業・漁業交流賞 作品の部 奨励賞
おちち、やわらか〜い(熊坂彩夏さん ・遠軽町)
津別オーガニック牛乳親子産地見学会で山田牧場へ行きました。牛に触るのも乳しぼりも初体験でしたが、スタッフの方々の親切なご指導で、ミルクがピューッと勢いよく出て「上手だね」と、言ってもらえてとても嬉しかったです。バターを新鮮なミルクで作ったり、オーガニックのおいしい牛乳を飲んだり、馬にも乗せていただいて、とっても楽しい見学会でした。
魚とつな引き(宮内みずほさん ・斜里町)
学校のキャンプで地引きあみ体験をしました。漁しの方たちが、船からしかけたあみを二つのチームに分かれて「よいしょ!よいしょ!」と、言いながら引きました。魚がかかったあみは、とても重たくてまるで魚とつな引きをしているようで楽しかったです。
大きいのがとれた!!(加藤利香さん ・斜里町)
家の漁業の仕事の手伝いにマス定置網漁の船に乗って、たくさんの漁夫の人たちといっしょに網をひいた小学3年生の息子。漁が終り、沖からあがってきて「おかあさん、大きいのがとれた!!」と大よろこびでした。見ると、息子と変わらない大きさのシイラがありました。「海でみると青くピカピカ光って、すご〜くきれいだった」と魚の青さとかわらないくらい、光った笑顔で話してくれました(マスのうろこであちこちと光ってもいたけれど….)。
いっぱい食べてネ!(宍戸美由紀さん ・湧別町)
2才の息子は、じいちゃん、ばあちゃんと牛舎のお仕事をするのが大好き。草やり、子牛のミルクやり等。この日はお昼の草やりをお手伝い。大人が使うフォークを上手に使って、牛が届かない草を押している所です。力いっぱい押している様子が伝わるかな?お家に帰って帽子をぬぐと、坊主頭に玉の汗が光っていました。お手伝いご苦労様。
カレイクイーン(武田彩生さん ・北見市)
本年度より、東京から北海道北見市へ転居することになったので、以前から在住していた祖父に網走鱒浦漁港へと連れていってもらえる機会も増えた。元々、オホーツクの海で釣りをたしなんでいた祖父に釣りのイロハを一から教わり、なかなか思うようにいかない苦労も味わったが、次第に要領を得て、月に何度も足を運ぶほど、釣りの世界に魅入られた。どのようにすればたくさん収獲できるのかや、漁港で出会った漁業に従事する人との会話体験から職業としての漁業観にも興味を示している。
自然にふれてみて思ったこと(山浦輝一郎さん ・札幌市)
札幌市立陵陽中学校の2年生になると宿泊学習に参加することになります。そこでぼくは、長沼町で農業体験をしました。その後、学校でこの作品を書きました。