2024.1.29

-Story01- 「組合員さんと作ろう!」 商品開発プロジェクト始動


「組合員さんと一緒に新商品を作りたい!」。コープさっぽろ商品開発部の髙森雄輔部長のこんな思いからスタートした今回の商品開発プロジェクト。「なぜ、組合員さんと作るの?」「どうしてアイスクリームなの?」「そもそも組合員さんと一緒に作るってどういうこと?」。教えてください、髙森さん!

—単刀直入に聞きます。組合員さんと一緒に商品を作ろうと思ったのはなぜですか?

率直に「作ってみたい」と思ったからです。コープさっぽろの商品開発の歴史を調べてみたところ、過去には組合員さんが参加して商品を作っていたことが分かりました。たとえば昭和47(1972)年には、「生協の店から赤いウインナーをなくしたい」「安心して与えられるウインナーがほしい」という組合員さんの声から、着色料・発色・保存料・酸化防止剤・殺菌剤・結着剤を使わない日本で初めての無添加ウインナーが誕生しました。さらに前の昭和43(1968)年には、大手醤油メーカーの値上げに反発して人工甘味料・人工着色料を使用しないオリジナル醤油を発売しました。

コープさっぽろは、組合員さんの出資で成り立っている組織です。いうなれば組合員さんが主役です。組合員さんにとっては「自分たちの店」という思いが当然あります。その思いは店だけじゃなく、商品にもあるはずです。組合員さんの意見を商品に反映することができたら、これはまさしくコープさっぽろらしい商品、組合員さんの期待に応える商品ができるんじゃないかと思いました。

—なぜ、アイスクリームを作ることになったんでしょう?

理由は二つあります。一つは、アイスクリームという食品が持つ幅の広さです。アイスクリームはいろいろな味を作ることができるし、皆さんそうだと思いますが、「自分の好きな味」というのがありますよね。アイスクリームをテーマにすれば、組合員さんからたくさんのアイデアをいただけるんじゃないかという期待がありました。
もう一つは、コープさっぽろの関連会社にさくら食品株式会社というアイスクリーム製造の会社があって、そこで商品開発ができることがあります。やはり外部のメーカーさんですと、「迷惑をかけられないな」とどこかでブレーキを踏んでしまうことも考えられますから、内部調整のしやすさからもアイスクリームがベストでした。

—「組合員さんと作る」とは、どういうことでしょうか?
組合員さんには、「どんなアイスが食べたいか?」というアイデア出しから、試食をして味決めするという商品の骨格を決める役割を担ってもらいました。製造は、アイスクリーム製造のプロであるさくら食品にお願いしています。私は商品として販売するための実務的な議論には参加しますが、ベースとなるアイデアや味決めには口出ししないと決めました。

—「組合員さん」とは、誰でしょうか?
全道200万人の組合員さんに会議や試食会に参加してもらうのは現実的ではないことから、道内各地区で組合員活動を企画・運営するエリア委員さん(約120名)に協力をお願いしています。

—具体的にはどのように商品開発が行われたのでしょうか?
これまでの開発経緯を時系列で説明すると、まず私から関係者の皆さんに声をかけたのが2023年3月。各地区のエリア委員さんにアンケートをお願いして、それがまとまったのが5月。それを受けて6月に最初の企画会議を行いました。
アンケートには本当にたくさんのアイデアが寄せられました。一般的なフレーバーのほかにも野菜系や和テイスト、昔ながらのアイスまでいろいろ。第1回企画会議ではそれをもとに商品のターゲットや企画の方向性を決めました。
8月に実施した第2回企画会議では、組合員さんの投票結果をもとに候補を「ミルクジャムアイス」「とうきび粒入り」「白ワインシャーベット」の3種類に絞り込みました。
それからさくら食品に急ピッチで試作品を作ってもらい、9月から10月にかけて試食会を実施。全道123名の組合員さんに、3種類それぞれを試食してもらいました。

—ということは、3種類×123名分で369食!なかなかの規模ですね。
はい。やっぱり皆さんに食べてもらうことが大事ですから。その上で再びアンケートを取り、11月の企画会議で商品を決定しました。とはいえこれで完成ではなく、さらなるブラッシュアップの試食を12月に行い、現在にいたります。

—ん?ということは、「ミルクジャムアイス」「とうきび粒入り」「白ワインシャーベット」の中からどれを商品にするかというのは、既に決まっているんですね?
はい。でも、まだ秘密です。

—え!そんな……。
それは組合員さんから発表してもらおうと思います。

—分かりました。ところで、皆さんで決めることの難しさや苦労はありましたか?
そうですね。実は試食の結果、みごとに票が3つに分かれたんです。最終的に、僅差で最多得票の味に決まりましたが、組合員さんからは「3つとも商品化して!」という声も出ました。私はそのとき、こう答えました。
「(3商品を)作るのは簡単です。でも、売るのは大変です。3つ同時に発売したときに、全部売れる自信はありますか?きちんとコストに見合った供給(売上)につながるかどうか。商品を開発する上では大事なことですし、作って売れなかったら商品がかわいそうですよね」。厳しい意見に聞こえるかもしれませんが、正直にそうお伝えしました。

—すべてのアイデアが反映されるわけではない。商品づくりには責任が伴うということですね。
決してお一人おひとりの意見を無視するわけではなくて、それが本当に組合員さん全体のためになるのかという視点がとても重要だと思っています。

—ここまでを振り返ってみて、いかがでしょうか。

やはりコープさっぽろだからできた取り組みだと思っています。たとえば他社で同じように、お客さんの声を反映した商品を作るとします。そのためにWEBでアイデアを募集したとしましょう。でも、その「お客さん」とは誰でしょうか?
コープさっぽろの組合員さんは、「不特定多数の誰か」ではありません。日頃からコープさっぽろの店舗を利用し、あるいは宅配トドックを利用し、商品を購入している方です。コープさっぽろについて、PB商品についてよくご存じの方ばかりです。
たとえば今回のようにアンケートを取れば、「北海道の原料を使ってほしい」「素材の味を生かした商品がいい」「小さな子どもでも安心して食べられるように」「てんさい糖などの安全な甘味料を使って」「乳化剤や着色料はできるだけ使わずに」といった意見をたくさんいただきます。組合員さんらしいな、と思いながらアンケートを読ませてもらいました。
味だけではなく、そういった意見、組合員さんの思いをしっかりと商品に盛り込むことができたら、これはまた一歩、組合員さんのための商品になるのではないかと考えています。

—改めて、商品開発の醍醐味とは何でしょうか?

私は10年ほど前にコープさっぽろに入協しましたが、その頃、こんな目標を立てました。「組合員さんのためになって、よく売れて、儲かる商品を作りたい」。
儲かるというのは必ずしも悪いことではないと私は思っています。組合員さんがきちんとその商品の価値を感じてくださり、たくさん売れてお店が潤い、メーカーも再生産できる。一つの商品をきっかけに、組合員の皆さんが喜んでくれて、店舗も売って良かったねとなって、関わる皆さんがハッピーになるのなら、それって素晴らしいことですよね。

商品開発というと、商品開発部が全部やっているように映るかもしれませんが、実のところ私一人でできることなんて限られています。商品を作るのはメーカーさんですし、販売するのはバイヤーさんですし、ピーアールするのは広報部さんです。今回は、組合員さんに本当に大きな力をいただいています。
開発した商品がエンドユーザーに届くまでに、多くの方たちの力をお借りして進めているというのは身に染みて感じるところです。だからこそ、生み出した商品はきちんと売り切りたい。フードロスにならないようにしたい。関わる皆さんに対して、商品に対して、失礼のないよう、丁寧にやっていきたいと常々思っています。

—ありがとうございました。組合員さんと一緒に作る意義、商品開発にかける思いが伝わりました。次回は、商品開発の「主役」である組合員 さんにインタビューします。

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