Vol 07. 味覚教育センター
味覚教育センターとは?
味覚教育センター(Centro di Formazione, Ricerca e Comunicazione sull’Educazione Sensorale, Almentare e del Gusto:感覚・食・味覚教育のための養成・研究・コミュニケーション普及を目指すNPO。場所は、イタリア トスカーナ州 プラートに位置する。
当センターは、イタリア教育省より学校教育職員養成機関として認定を受けており、多くの地方公共団体、協会、文化教育機関と協力して事業を進めている。
1990年代、学校や家庭で、食べるものと食べることへの配慮が乏しく偏っていることを危惧した教師と研究者グループが、新しい食教育を模索し始めていた。こうした背景から、味覚教育センターは誕生している。
味覚教育センターの主な活動は、教師や父母への食教育を中心とした「養成コース」と、学校での教育ファームや、センター内での授業などの「教育活動」、食品と広告、学校給食のクオリティー、地域公共団体とのプロジェクトなどの「研究活動」の3つ。
センターを運営するのは、アレンサンドロ・ヴェントーリ氏とルイーザ・ペリス氏。アレッサンドロ氏は、2006年までスローフード協会食教育プロジェクトの責任者を務めていた方。ルイーザ氏は、トスカーナ州立教育研究実験センター指導員。まさに食&教育のプロフェッショナルが運営するセンター。
スクールガーデンフェスタ ~毎年5月に味覚教育センターのある公園で実施される大フェスタ~
カッシーネ・ディ・ターヴォラ自然公園内のプラート味覚教育センターの教室の周りには、学校菜園のサンプルになる教育菜園がいくつもある。この菜園で、毎年5月に大フェスタが行われる。我々が視察した時、ちょうどこのフェスタが開催されるということで、参加させていただいた。
2013年5月25日(土)、晴れたり雨が降ったり、不安定な天気ではあったが、大フェスタが行われた。このフェスタには、学校菜園を実施しているすべての学校の生徒達が集まってくる。生徒のほか、先生・父母・菜園のサポートをしている生産者も参加する。
この日は、菜園を通して学んだこと(絵画・自由研究)の他、菜園の作物の試食や、子どもたちによるダンスも披露された。皆で集い、次の種まきと収穫への準備をする、喜びに満ち溢れたまさに「お祭り」といった様子だった。
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2013年5月25日(土)
小学校でのスクールガーデン1周年祝賀会 ~家族みんなが小学校に集まり収穫をお祝いするお祭り~
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小学校でのスクールガーデンフェスタ ~1周年のお祝い行事~
味覚教育センターからほど近い、プラートの小学校を訪問。200名ほどの生徒が在籍している小学校で、スクールガーデンの1周年記念をお祝いするフェスタが行われていた。
この日は、月曜日。平日にも関わらず、ご両親だけでなく、祖父母の皆さんまでカメラやビデオを片手にお祝いに駆けつけていた。
この日は、1年間菜園を通して学んだことや制作した物(絵画など)が学校内や菜園に展示され、採れた野菜や果物を使ったお菓子なども振舞われ、まさにお祭り騒ぎ。
スクールガーデンは、「食べておいしく、見て美しい教育菜園」を目指し、実施されている。学校で採れた食材は給食に使われたり、保護者向けに販売もされている。子どもたちが一所懸命育てた野菜は大人気で、すぐに売り切れてしまうという。菜園の管理は、生徒の祖父となる方や近所の方がボランティアでやられていることが多いとのこと。私もボランティアをされているFurankoさんと、Robertoさんに、「菜園の管理は大変ではないですか?」と質問させていただいたところ「毎日とっても楽しい!子どもたちに触れあれる時間は、幸せな時間」とおっしゃっていた。
また、この日は、給食もあり、こちらも見させていただいた。給食は、教室ではなく、廊下のスペースで食べていた。日本のように子どもたちが給食を配膳するのではなく、専門のスタッフの方が、給食で作りからサーブまでされていた。
この日のメニューは、パスタ。1か月のメニュー表には、「bio(有機)」の文字も。給食のメニューにも菜園の野菜が多く使われる。自分たちで育てた野菜を、給食で食べられる。美味しそう食べる子どもたちの笑顔を見ていると、こちらまで幸せな気持ちになった。
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2013年5月25日(土) 星野浩美