Vol 17. 美食の街サンセバスチャンの「レストラン」とは?

美食の街サンセバスチャンの「レストラン」とは?

幸せなことに、サンセバスチャン滞在中、バルだけでなくレストランも4店舗ほど訪れた。その時の感想とともに、ご紹介したい。

ELKANO(2015年一つ星獲得)@ゲタリア)―ちょっと感動的なお魚の炭火焼料理で有名なお店

エルカノは、1964年創業のお魚の料理、特に炭火焼料理で有名なお店。2014年、ミシュランの1つ星を獲得。炭火焼という伝統的な調理法で星を取るというのは画期的であるらしい。とにかくお魚が美味しおということで、世界中からお客さんがやってくる。この日は暴風雨にも関わらず、ロシア系の方など、開店後すぐに5組以上が来店していた。やはり人気店である。

エルカノがあるゲタリアという街は、マゼランとともに世界の航海をした人物であるエルカノが生まれた街で、その名前を店名にしている。街にはブロンズ像もある。また日本でもファンが多い「バレンシアガ(オートクチュールブランドのデザイナー)」が生まれた街で、なんとエルカノの従業員の制服はバレンシアガ!紺色のキュロットタイプのワンピースが何とも可愛く、ファッションの側面からも、ゲタリアという街を大事にしていることが分かり、お料理とともに、すっかりファンになってしまった(ちなみに日本人には有名なバレンシアガだが、スペインにはほとんどお店がない。日本で成功したデザイナーの一人)。

美味しいお料理は、写真でお楽しみを

ELKANO入口
炭火焼きのお魚料理で有名。これはおそらく近所の方た自分で釣ったカレイ お店で食べていなかったので、自宅に持ち帰った様子
二代目の息子さん。私の中ではさかなクン♪
ココチャ(メルルーサというタラに似たお魚のアゴの部分)3種で味わう 左:ピカタ風(衣はごく薄い)、中:お店オリジナル塩味のソース、右:ピルピルソース(オリーブオイルにココチャを入れ、30分ほど回しながら火を入れると白色ソースに!塩やハーブで味付けをする。お店によって味は異なる)
絶対に頼んだ方がいい、魚のスープ。赤だしかと思える色合いのスープ。 具は何も入っていないが、魚の出汁がきいた絶品!
私の大好きなバスク地方近郊の赤ピーマン エルカノお手製!炭火焼きの香りと濃厚な赤ピーマンがたまらない! トロットした触感も最高!
これがヒラメの炭火焼。一番小さいお魚とオーダーしてこの大きさ 頭の骨を分解して手でいただいたら店主より拍手していただきました
締めは羊のミルクのアイス。ベリーのソースがベストマッチ おかわりする方もいらっしゃるとか!
これがバレンシアガの制服。ネイビー。見にくいけれど、後ろの大きなボタンも可愛い♪

Rekondo(レコンド)―バスクの伝統料理が食べられるお店

店のオープンは、1964年。現在店を取り仕切るルルデス・レコンド氏の両親の料理が近所で評判を呼び、祖父の家を改築してバスクの郷土料理のお店をオープンした。

大のワインの愛好家でもあった父のチョミン氏が70年代から世界のワインのコレクションは圧巻!世界のワインセラーの5本の指に入るという。特にリオハの年代物のワインは、スペイン一のストック数を誇っている。バスクらしい伝統的なお料理をいただきたいときは、ぜひこのお店をおすすめする。

赤いワンピースで、ファッショナブルで可愛らし方は娘さん
まずはチャコリ
スペインは衣の薄いクロケッタが有名。こちらはスペイン全土でいただけます ただ中身は地方によって色々。この日タラのすり身!タラを使っているところが、バスクらしい!
ブラッドソーセージ。オレンジの爽やかな風味であっさりいただけた 苦手な方は苦手かも?ちなみに私は大好きです♪
大きなアサリのリゾット!塩分きいているけれど、美味しい!アサリは他の貝と比べてとっても高級です!
カニの甲羅焼き!一人分をシェアしたので、甲羅には入ってきませんでした!
正にバスク料理!烏賊の墨煮!隠し包丁が入っていて想像以上の柔らかさ 非常に濃厚で、白ワイン、チャコリによく合います
羊のミルクのプリン。味わないので、お砂糖かハチミツをかけて食べます とってもバスクの羊飼いがミルクを入れていたものと同じかたちだそうです
バスクの伝統菓子。屋根の瓦をかたどったもの。 これとシガール焼きが有名。ヨックモックのシガールの原型とも言われているようです
丁寧にワインを説明してくださったソムリエさん
貴重なワインがズラーリ!マドリードから来たお客様も一所懸命写真撮られていました(右)

世界でただ一人、通算7つもの星をとったサンセバスチャンのスター「マルティン・ベラサテギ」氏のカジュアルレストラン「Eme Be Garrote」でのランチ~シードル醸造所のリノベーションから生まれる新しい料理とは?~

サンセバスチャン市街から、20分ほど車で走ったところにある、丘の上に建てられたお店。すぐ隣に羊が飼われており、日本では見ることができないバスクらしい風景は風情がある。このお店は、世界でただ一人、一人で7つもの星を獲得し、バスクの大スターとして知られる「マルティン・ペラギニ氏」がプロデュースするカジュアルレストランの「Eme Be Garrote」。お店は、アップルタイザーの醸造所だった場所をリノベーションして作られたお店で、10万リットルも入っていた樽や林檎の収穫時に使っていた籠を椅子や照明に使うなど、伝統とモダンを取り入れた雰囲気のあるお店。一つ星のお店よりリーズナブルな価格で三ツ星クラスのシェフの雰囲気を味わえる、とってもお得なお店。サービスは星無しのお店とは思えないほどしっかりしていて、一つ星以上の満足感が得られる。

この日はアラカルトでオーダー。このお店で頼むべきオススメメニューは、たくさんあるが厳選して2つ!
一つは、塩タラを使ったバスク伝統の「トルティーヤ」。中はトロトロで、日本の卵焼きとはまた一味違う美味しさ。バスクの名産であるチャコリや白ワインによく合う。

二つ目は、熟成肉の炭火焼。もともとバスク地方は肉が美味しいことでも有名。日本とは違い霜降り肉ではないため、肉をおいしくいただくため肉の熟成がなされるようになった。この熟成肉を堪能できる固まりの肉の炭火焼は、ぜひ味わっていただきたい。バルでも熟成肉を味わえるお店がいくつかあるが、人気店では、そのお肉はありつけないことが多いこともあるので、バスクのお肉を皆様に試していただくために、ぜひここで味わうことをお勧めする。

また世界のトップスターのお店である雰囲気は、前菜でも味わうことができる。この日は缶詰に野菜とアンチョビを使ったクリーム状の前菜。トランプの様な模様をつけは、何とも可愛らしく、目でも楽しませてくれた。こうしたお料理は、アルサックを始めとした三ツ星以上の、世界でも有名なお店で味わえることが多い。まさに「ヌエバ・コッシーナ」とい荒れる、バスク料理に新しい風を吹き込み、世界から注目を集めるきっかけにもなった、バルでのお料理とはまた違う、バスクの新しい料理である。このお店では、マルティン氏が手掛けていることもあって、星無しでもこうした「目で楽しめるお料理」を味わえるのが嬉しい。

ワインもボトルで15€程とリーズナブル。マルティン氏がプロデュースするワインも楽しめる。おすすめの一店であることには間違いない。

外には羊。ザ・バスク!
お店外観
まずは大きなシードルの樽がお出迎え 昔使っていたそのものを、そのまま利用しています
この方がバスク人で、このお店をプロデュースしている「マルティン・ベラサテギ」氏
前菜はアンチョビのソースに可愛いアレンジをしたもの。お野菜のソースなどが飾られています。アンチョビソースによく合います
この日もクロケッタ。一口サイズ
そして、バスクの伝統料理「タラのトルティーヤ」。貝柱も入っていました。 このトロトロ感がたまりません♪
メルルーサのピルピルソース ちょっとこってり系
シードルにぴったりなのがこの熟成牛肉! もともとバスク周辺のお肉は、和牛のように脂肪分が多くないので、美味しく食べるために熟成が必要だった!食べ応えのあるガッツリお肉です。美味しかった~♪
サービスでいただいてしまったバナナの中にマンゴーのプリンが入ったもの 上にバナナが刻まれています。バナナの触感がアクセントになって、お肉の後の口直しにピッタリのポストレ(デザート)でした♪

2016年3月1日(火) 星野浩美

Kokotxa(ココチャ)―若きシェフが作る新しいバスクの味・一つ星獲得店~

バル街の一つ裏の路地に入ったところのある、創作料理を楽しめるレストラン。シェフも若く、函館料理学会にも参加経験のある、ルイス・イリサール料理学校の卒業生が営むお店。醤油や・コチュジャンを使ったお皿があるなど、和・東洋に興味関心があることが伺える。バル街の食事のレベルの高さ、コストパフォーマンスを考えると、今回行かせていただいた店舗の中では、行くべきお店としての優先度は下がるが、新鮮な素材を生かしたお料理で美味しかったことは間違いない。今回は58€(+10%サービス料)のコースをいただいた。

入口。バル街にあります。
店内の雰囲気はこんな感じ
アペリティーボ
エビのはさみ揚げ風&お餅(ポテト)と鰯。海苔も使われていて、日本風です。
このパン、美味しかった!穀類の香ばしさが活きていました
お野菜のお皿。下に敷かれた人参かと思ったものはゼリー状。あっと驚かせる工夫がさりげなくなされています
烏賊の墨煮のアレンンジ!ラビオリの中に濃厚な烏賊の墨煮が入っていました。 スープでさっぱりと
エビのはさみ揚げ風&お餅(ポテト)と鰯。海苔も使われていて、日本風です。
お肉料理。牛の首の後ろの部分。低温調理がなされていました。 ソースはコチュジャン。韓国風にマカデミアンナッツが添えられていました。
ポストレは、チョコレートケーキ。泡状のチョコレートソースと、リンゴのコンポート、 バニラアイスと一緒に
〆のカフェ(カフェソロ)です

2016年3月8日(火) 星野浩美

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