Vol 17. 美食の街サンセバスチャンの「レストラン」とは?
美食の街サンセバスチャンの「レストラン」とは?
幸せなことに、サンセバスチャン滞在中、バルだけでなくレストランも4店舗ほど訪れた。その時の感想とともに、ご紹介したい。
ELKANO(2015年一つ星獲得)@ゲタリア)―ちょっと感動的なお魚の炭火焼料理で有名なお店
エルカノは、1964年創業のお魚の料理、特に炭火焼料理で有名なお店。2014年、ミシュランの1つ星を獲得。炭火焼という伝統的な調理法で星を取るというのは画期的であるらしい。とにかくお魚が美味しおということで、世界中からお客さんがやってくる。この日は暴風雨にも関わらず、ロシア系の方など、開店後すぐに5組以上が来店していた。やはり人気店である。
エルカノがあるゲタリアという街は、マゼランとともに世界の航海をした人物であるエルカノが生まれた街で、その名前を店名にしている。街にはブロンズ像もある。また日本でもファンが多い「バレンシアガ(オートクチュールブランドのデザイナー)」が生まれた街で、なんとエルカノの従業員の制服はバレンシアガ!紺色のキュロットタイプのワンピースが何とも可愛く、ファッションの側面からも、ゲタリアという街を大事にしていることが分かり、お料理とともに、すっかりファンになってしまった(ちなみに日本人には有名なバレンシアガだが、スペインにはほとんどお店がない。日本で成功したデザイナーの一人)。
美味しいお料理は、写真でお楽しみを
Rekondo(レコンド)―バスクの伝統料理が食べられるお店
店のオープンは、1964年。現在店を取り仕切るルルデス・レコンド氏の両親の料理が近所で評判を呼び、祖父の家を改築してバスクの郷土料理のお店をオープンした。
大のワインの愛好家でもあった父のチョミン氏が70年代から世界のワインのコレクションは圧巻!世界のワインセラーの5本の指に入るという。特にリオハの年代物のワインは、スペイン一のストック数を誇っている。バスクらしい伝統的なお料理をいただきたいときは、ぜひこのお店をおすすめする。
世界でただ一人、通算7つもの星をとったサンセバスチャンのスター「マルティン・ベラサテギ」氏のカジュアルレストラン「Eme Be Garrote」でのランチ~シードル醸造所のリノベーションから生まれる新しい料理とは?~
サンセバスチャン市街から、20分ほど車で走ったところにある、丘の上に建てられたお店。すぐ隣に羊が飼われており、日本では見ることができないバスクらしい風景は風情がある。このお店は、世界でただ一人、一人で7つもの星を獲得し、バスクの大スターとして知られる「マルティン・ペラギニ氏」がプロデュースするカジュアルレストランの「Eme Be Garrote」。お店は、アップルタイザーの醸造所だった場所をリノベーションして作られたお店で、10万リットルも入っていた樽や林檎の収穫時に使っていた籠を椅子や照明に使うなど、伝統とモダンを取り入れた雰囲気のあるお店。一つ星のお店よりリーズナブルな価格で三ツ星クラスのシェフの雰囲気を味わえる、とってもお得なお店。サービスは星無しのお店とは思えないほどしっかりしていて、一つ星以上の満足感が得られる。
この日はアラカルトでオーダー。このお店で頼むべきオススメメニューは、たくさんあるが厳選して2つ!
一つは、塩タラを使ったバスク伝統の「トルティーヤ」。中はトロトロで、日本の卵焼きとはまた一味違う美味しさ。バスクの名産であるチャコリや白ワインによく合う。
二つ目は、熟成肉の炭火焼。もともとバスク地方は肉が美味しいことでも有名。日本とは違い霜降り肉ではないため、肉をおいしくいただくため肉の熟成がなされるようになった。この熟成肉を堪能できる固まりの肉の炭火焼は、ぜひ味わっていただきたい。バルでも熟成肉を味わえるお店がいくつかあるが、人気店では、そのお肉はありつけないことが多いこともあるので、バスクのお肉を皆様に試していただくために、ぜひここで味わうことをお勧めする。
また世界のトップスターのお店である雰囲気は、前菜でも味わうことができる。この日は缶詰に野菜とアンチョビを使ったクリーム状の前菜。トランプの様な模様をつけは、何とも可愛らしく、目でも楽しませてくれた。こうしたお料理は、アルサックを始めとした三ツ星以上の、世界でも有名なお店で味わえることが多い。まさに「ヌエバ・コッシーナ」とい荒れる、バスク料理に新しい風を吹き込み、世界から注目を集めるきっかけにもなった、バルでのお料理とはまた違う、バスクの新しい料理である。このお店では、マルティン氏が手掛けていることもあって、星無しでもこうした「目で楽しめるお料理」を味わえるのが嬉しい。
ワインもボトルで15€程とリーズナブル。マルティン氏がプロデュースするワインも楽しめる。おすすめの一店であることには間違いない。
2016年3月1日(火) 星野浩美
Kokotxa(ココチャ)―若きシェフが作る新しいバスクの味・一つ星獲得店~
バル街の一つ裏の路地に入ったところのある、創作料理を楽しめるレストラン。シェフも若く、函館料理学会にも参加経験のある、ルイス・イリサール料理学校の卒業生が営むお店。醤油や・コチュジャンを使ったお皿があるなど、和・東洋に興味関心があることが伺える。バル街の食事のレベルの高さ、コストパフォーマンスを考えると、今回行かせていただいた店舗の中では、行くべきお店としての優先度は下がるが、新鮮な素材を生かしたお料理で美味しかったことは間違いない。今回は58€(+10%サービス料)のコースをいただいた。
2016年3月8日(火) 星野浩美